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楽あれば苦あり、分かってはいるが楽がいい-vol.74-

ドカ雪に見舞われたある年

お向かいのおじさんが言った

「去年少なかった分、今年たくさん降って帳尻を合わせているんだ」

『なるほど』の一言だった

選択を迫られると『両方』と答えていた私

(キュートな宿命-vol.39- を参照)

ただの『欲張り』だと思っていた

だがその根本には『優柔不断』があることを

最近になって自覚した

“どっちにしよう、決められない”

そんな時は他人の意見に委ねて生きてきた

これからもそう生きていくはずだった

だが気付けば私は今

葛藤と決断の日々を送っている

突然訪れた、人生の帳尻合わせ

【キーワード】はモクだった

猛暑から一転

7月に入ったというのに涼しい日が続いていた

お陰で夜中の尾追いが減り

私はすっかり安心モードに入っていた

ところが、外出先から帰宅した

-ある日-

私「モクー!ただいまー!」

モク「おっかえりぃい!(しっぽブンブン)」

ここまではいつも通りだった

だが、何かがおかしい・・・

しきりに尻尾を気にして

座っては立ち、座っては立ちを繰り返していた

"まさか?"

尻尾を見ると案の定、血が付いていた

||||ガビーン||||

『なぜ?』『なんで??』『どうして???』

回りすぎて体が柔らかくなった?

痩せて尻尾に口が届くようになった?

近頃、頻発している尻尾噛み事件

その原因が知りたかった

だが結局は【?】で埋め尽くされしまう

原因が分からなければ予防法もない

日々をやり過ごしていくしかないのだ

次の日の尻尾

ほくろじゃないよ

今までもそうだった

おそらく寝ている間に悪夢を見たのだろう

事件当日、

外出先から遠隔カメラで様子を見る度に

伏せをしていたので多少の違和感は感じていた

だがまさか、尻尾をかじっていただなんて

思いもしなかった

一人で不安と痛みに震えていたモク

その心情を思うととても胸が痛んだ

経験すればするほど脳に刷り込まれる『痛み』

またしばらくの間

リアルに感じる尻尾の痛みと

今まで経験してきた痛みの記憶

それらと小さなモクとの戦いが始まる

そして私は外出の度に気を揉み続けるのだろう

やはり脳の検査をするべきか?

検査をした結果、脳に異常はなかった

そうなった時に

またトラウマだけが残ったらどうする?

終わらない葛藤と決断

モクと出会ったことで

私の人生が豊かになったように

モクの犬生も豊かであってほしい

毎日不安と恐怖に怯えるモク

穏やかな犬生はいつ訪れるのだろう?

【キーワード】だけでもいいから

こっそり教えてくれないかな?

モクがききたいよっ