You are currently viewing 理想と現実-vol.36-

理想と現実-vol.36-

これが10円ハゲ・・・

その時見た衝撃的な光景と

その子の悲しげな目は一生忘れられないだろう

私が13才の時におうちにやって来たのは

赤ちゃんボーダーコリー

とても賢いその子はクールとキュートを

上手に使い分ける魅力的な女の子だった

何年かして私たち家族は

遠方にいる祖父母のところへ行くことになった

当時は今と違い

ペットと旅をするには不便なことが多かった

その為、やむを得ずペットホテルに預けたのだ

ーそして数日後ー

迎えに行ってすぐに気付いた

頭の一部分だけまん丸くハゲていることに

私たち家族はとてもショックを受け

その子に謝り続けた

その経験が毒となった

私はモクと一緒に寝ることを頑なに拒んだのだ

一人で過ごしても平気

それが当たり前

モクにはそんな風になって欲しかった

今回のホテルは最高でちた

これが理想

その想いを貫きたかった理由がもう一つある

それは『分離不安症』というもの

一時も離れようとしないモクに不安を感じていた

“寝るときぐらいは距離をとろう”

そうしないとダメな気がしていた

それでもモクは毎日

尾追いという形で寂しさを訴えていた 

その姿を見て改めて考えた

そして気付いた

自分の理想とモクの気持ちのチグハグに・・・

毒が抜けてようやく目が覚めた

モクの寂しさから目を逸らし続けていた私は

願いを叶えることにした

その願いとは『一緒に寝ること』

だが夜中の尾追いが問題だった

ベッドから落ちて怪我をしたら元も子もない

そうなると同じベッドで寝るのは難しい

そこで私のベッドの横に

モクの小部屋を作ることにした

初めて一緒に二階へ行き

自分の小部屋に入った時は大喜びをしていた

心が安定したのか夜中の尾追いはなくなっていた

とても平和な日々・・・

と、思いきや

やはりモクは裏切らない

平和やってます!《なくなり次第終了》

何で平和が限定品なんでしょうかねぇ?

再び尾追いが始まったのだ

それからというもの距離が近くなった分

布団の擦れる音に敏感になり

寝返りを打つ度に尾追いをするようになった

アホ夫婦は石になり続けたのだった

そんな窮屈な夜を過ごしていたある日

それは突然訪れた

想定外の出来事で尾追いが減少したのだった

「なぜーーー!?」

想定ちてよぉ