底なしの体力
止まることを知らないモクの暴走列車
毎日繰り返される噛みつきと破壊
文章では伝えららないのが残念でならないほど
凄まじい日々だった
当時は一日が長く、
一週間、一ヶ月が本当に長く感じた
そして遂に・・・
メンタル崩壊
午前中は特に元気で一度おもちゃを投げると
無限ループの世界へいざなわれた
そんなこと苦ではない
だって可愛いもの
だけど辛いのは噛み噛み王子に変身した時
一度テンションが上がると手が付けられず
私の手や足に躊躇なく噛みついた
止めようとすると顔に飛びかかり
その攻撃性は日ごとエスカレートしていった
気付けば私の手足は穴だらけになっていた
“なんか静か・・・やっと落ち着いたかな?”
そんな訳がない
しまいにはテーブルの上によじのぼって
紙を噛みちぎり
家具やじゅうたんをボロボロにしていた
わんこは大きな音が苦手
そう思っていた私はティッシュの箱などで
大きな音を出しながら叱っていた
今までのわんこはそれでやめていた
だがモクは違った
全く動じることなく悪さをし続けていた
そして止めようと近づくと噛み付き
飛びかかってきてはまた暴走していた
家具の木くずが口に刺さるのでは?
じゅうたんの繊維は体に悪いのでは?
そんな不安が私を焦らせた
だがモクを止める術は見つからなかった
そんなお手上げ状態が続いたある日
気付いたら頭を抱えている自分がいた
その時思った
“あぁ、これが俗に言う【頭を抱える】か・・・
人生で初めて抱えたな
この言葉を作った人、天才 “
【頭】という一文字に
こんなにも深い意味があったなんてね
知らなかったよ・・・
-つづく-