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歩み寄りによって変わったカタチ-vol.61-

お前が小さい頃は大変だったんだぞぉ

いつの間にかこんなに立派になっちまってぇ

ちゃんと親孝行するんだぞぉ

誰かにそう言われたに違いない

モクは今、親孝行忠(ちゅう)でございます

●○●○●2歳●○●○●

ようやくゲップが治まってきた頃

季節はすっかり秋になっていた

そしてモクは2歳の誕生日を迎えた

1歳の誕生日 からは想像もつかないほど

我が家の雰囲気は変わっていた

互いに受け入れ合い、認め合ったのだ

誰が暴れ犬だと言った?

モクは忠犬だぞ

-ある日-

いつも通り海岸沿いを散歩していた

するとモクの5倍はあるであろう柴犬に出会った

下を見るとモクの姿はなく

いつの間にか私の後ろに隠れていた

しゃがんでいる私に近づいて来た柴ちゃん

すると・・・

『ピコーン』

私「ん?何の音?」

忠犬モク公が目覚めた瞬間だった

隠れていたはずのモクが鬼の形相で吠えながら

私と柴ちゃんの間に割って入ってきたのだ

その勢いに負けて柴ちゃんは後退り

そのまま飼い主さんと共に去って行った

モクの初めて見る姿に驚き

一瞬何が起こっているのか分からなかった

しかし数秒後の私は大喜びをしていた

“やきもちかな?” “守ってくれたのかな?”

忠犬じゃーん

嬉しい気持ちを抑えることができない私は

道行く全ての人に自慢して歩きたいくらい

有頂天になっていた

臆病でいつも私の陰に隠れ

他のわんこがいると尻尾を丸めていた

そして帰ってきて悪夢を見ては尾追い

どれほどの勇気を振り絞っての行動なのかが

痛いほど伝わってきた

《威嚇》

それは決して良いことではない

だが私はモクが少し強くなったみたいで

ひそかに嬉しかった

それでも不安な時はやっぱりアヒルの子

小さかった時は下手くそで

よく旦那さんの足に当たっていた

そんなモクも成長しました

今では旦那さんの動く足に合わせて

右、左、右、左と進路変更をしながら歩く

そんな姿がまた愛しくてたまらないのだった

ほい、それ、ほい、それ