注) 若干ホラー感あります
-時は遡って平成初期-
幼い私は近所のお友達数人と公園で遊んでいた
そのうちの一人がブランコに乗って
勢いよく漕いでいた
だが、すぐにピョンっと降りて
違う遊具のところへ行ってしまった
楽しんでくれる相手がいなくなったことに
気づいているのか
気づかないふりをしているのか
その後もブランコは健気に揺れ続けていた
私はその光景に虚しさを感じた
それからというもの私は取り憑かれたかのように
ブランコの揺れをを止め続けていた
誰かが乗っていなくなると止め
また乗っていなくなると止め、を繰り返し
幼い私はブランコの番人となっていた
「もう帰ろう」「また明日ねー」
周りの声が耳には入っていたものの
止めるのに必死で振り向きもしなかった
やっとのことでピタッと止め
家に帰ろうと周りを見ると既に誰もいなかった
幸いこの病的な執念はこの一日だけだった
本当に取り憑かれていたのだろうか・・・
何故モクの尾追いを止めたくなるのだろう?
そう考えていた時に思い出した幼き頃の奇行
そして思った
“あぁ、止めたい病が再発したんだ・・・”
そんな私は今日も、、、
グルグルと回るモクを、、、
無言でジッと見下ろすのだった、、、